本を読みました。

読んだ本を書きとめて行きたいと思います。

書評として書き留める主な目的は三つ
・本を読む動機付けに
・読んだこと感じたことを忘れないように
・書き留めることを積み重ね自信に





しかし初回から驚きの連続でした


本書は著者が新聞に連載していたものをまとめたものです。
内容は最先端技術を四つの視点から紹介しています。

--------------------------------目次-------------------------------------
序文…楽しいモノづくりの地政学

第一部 歴史を活かす…伝統を肯定し、否定するモノづくり
はじめに  伝統を肯定し、否定するモノづくり
1. 花火には江戸の技術が息づいている
2. 沖縄の泡盛は百年先を見すえている  金武酒造所
3. 常滑焼は平安時代から資源とエネルギーを有効利用してきた  INAX
4. 石川の漆塗りがハイテクでよみがえる  山中木製漆器協同組合
5. 静岡の模型玩具は駿河の指物工芸が生み出した  田宮模型
6. 土佐和紙の抄紙技術がIT市場で活かされる  ニッポン高度紙工業
7. 越後の紙づくりが新しいエコ製品を生み出す  安達紙器工業、北越製紙
8. 刀鍛冶の歴史を活かした岐阜の刃物づくり   岐阜県関市
9. 岐阜のヒノキが天然畳の弱点を克服する  飛騨フォレスト
10. 愛知の味噌樽が樹上住宅に変身する  瀬戸学国際会議
11. オカラのリサイクルでエコマテリアル開発を進める  協同組合福岡県DICクラブ
12. 一般の消費者の依頼に応じる愛知のメッキ  名古屋メッキ工業
13. 越後鍛冶の伝統技術を生かした新潟の洋食器  青芳製作所
14. 江戸の金属職人の技能がハイテク金型に生きる  チカラ製作所
まとめ 歴史に学び、歴史を活かす知恵

第二部 生物を活かす…生命に学び、生物を活かすモノづくり
はじめに  生命に学び、生物を活かすモノづくり
15. ニホンミツバチは農作業と歩を合わせる  伊那谷の養蜂家
16. カイガラムシのロウでつくる情報記録材  セラリカNODA
17. シルクの機能特性を活かす製品開発  東京農業大学農学部、山形県蚕糸総合研究センター
18. 植物ホルモンで農薬不要のイネ栽培  理化学研究所
19. モズクとアマモ栽培は日本独自の海の農業  ホクガン、岡山県水産試験場
20. 堆肥でつくる食の安全保障と地域の連携  堆肥・育土研究所
21. 岩手の森にマツタケがよみがえる  岩泉まつたけ研究所
22. 林業の活性化が町の活性化につながる  谷地林業、下川町森林組合
23. こだわりの姿勢がつくりだしたオンリーワンの日本酒  朝日酒造、てらしま
24. 植物でつくる生分解性の新素材  北海道大学、トロピカルテクノセンター
25. 竹が日本人の暮らしのなかに戻ってくる  エコデザイン研究所、オリエンタル
26. 「生きている家具」がコミュニティーの結びつきを高める  木笑園、ジョン・ギャスライト事務所
27. 小国杉でつくる健康と環境に配慮した木造住宅  熊本県小国町
28. うつくしま未来博は「森と共生するくらし」を提唱する  福島県須賀川市、うつくしま未来博協会
まとめ  地球社会を千年持続させる技術開発

第三部 人間を活かす――新しいモノづくりモデルの台頭
はじめに  人間力の可能性
29. アーティストと企業がランデヴーする展覧会  ワコールアートセンター
30. 農と食の循環が地域を連携する  三重中央開発、ねぎぼーず、井村屋製菓、コンポストジャパン、モクモク手づくりファーム
31. 新潟の製造業の未来を開くユニバーサルデザイン  UD21・にいがた
32. 十個のキーで入力できる簡単ワープロ  リーディング・エッジ・デザイン
33. インターネットを利用した食の情報公開システム  イーコード・エス、社団法人全国愛農会
34. 深層水事業はエコロジカルで持続可能な地域開発  高知県、室戸市、赤穂化成、シュウウエムラ化粧品
35. 環境効率アップを図る無鉛はんだのエコデザイン戦略  ソニー
36. 町工場が開発した地雷探査の新システム  人道目的の地雷除去支援の会、ジオ・サーチ
37. 大学知を市民社会に拓く研究開発型の科学技術NPO  ウェアラブル環境情報ネット推進機構
38. 「もったいない総研」は環境問題に取り組む産・官・民交流の場  財団法人北九州活性化協議会、もったいない総研フォーラム
39. 生活者ベースで健康環境住宅の基準づくり  NPO法人エコリビング推進認証協議会
40. まちづくりの新たなビジネスモデルを発信する  小笠原村
まとめ  意識すべきは人材の循環

第四部 国土を活かす――山に、川に、海に尋ね直すまちづくり
はじめに 千年科学技術の発想
41. 自転車都市として再生したデンマークの町  オールフス
  42. 人と自然が共存するアメリカのエコシティー  デイヴィス
43. 職・住・保養を実現したドイツの「小さな庭」  クラインガルテン
44. 地形や川に問いながら進めるダム建設  スリットダム
45. 川の命をたもち水生生物の楽園を生み出す静水池づくり  ワンド
46. 失われた自然をよみがえらせる生物教育の場  ビオトープ
47. 川の浄化でコミュニティーを再生する  御祓川
48. ダムに漂着する塵芥と土砂をリサイクルする  かんでんエルファーム、共生
49. 干潟の保全は生態系を守り海の浄化につながる  谷津干潟、三番瀬
50. ハウステンボスは次世代型のまちづくりである  ハウステンボス
51. 地域に問い直し、あるものを活かす「地元学」  熊本県水俣市、岩手県横田町
52. 都市と自然を結ぶユニバーサル遊歩道の建設  グリーンウェイ
53. 都市緑化や資源循環のメカニズムデザインを発信する  大成建設
54. テーマパークや研究施設が町のなかを移動するモバイルタウン  北海道大樹町、筑波大学渡研究室
まとめ  国土に学ぶまちづくり

おわりに――「日本的価値」の世紀へ
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目次を見てのとおり盛りだくさんです。
2001年発行となっていますが、今読んでもほとんど遜色ない内容となっています。

読んでみて秀逸だなと思ったのは、
あるモノづくりの事例が紹介してあり
そのあとに必ず実物の写真とその製作や政策(誤変換じゃないですよ)にいたった理念がちゃんと紹介してあるということ。

技術を教える際に教えたい(もしくは知りたい)こととして
「なぜその技術が必要なのか(課題)」
「どういう経緯でその技術をもちいたのか(背景)」
「技術により何が解決したのか(結果)」
があげられます。
もっと広く「読者として何を知りたいか」でも当てはまるのでしょうが
本書は事例だけでなくそれらの情報もすっきり入ってくるのです。

本書の中では、先端技術・生物技術・環境技術・地方政策・国際問題など言葉にすると堅苦しいものが非常にわかりやすく書いてありました。

実際に中東の地雷問題についても子供たちに話すとき
自分に何ができるか?という問いに対し
「募金してあげること?」
「この人たちの分まで勉強して世界に地雷をなくすこと?」
なんてかなり莫大で曖昧な答えしか浮かんでこなかったのですが
日本のNPOジャッズという組織により、実際に地雷除去支援がされていること、
ベンチャー会社ジオ・サーチをはじめシャープやソニー、オムロン、トヨタ、日本郵船など多くの有名企業が技術協力しているという話は目から鱗でした。

大事なのは『勉強してできることはお金を稼ぐことだけではない』と教えてあげることでしょうか。

三重県の事例も多く紹介されていて驚きました。
「三重中央開発」「ねぎぼーず」「井村屋製菓」「イーコード・エス」「モウモウファーム」
などをはじめ日本発のFSC(健全な森林と林業活動の世界基準)認定された「速水林業」など、海と山に囲まれた三重は学習環境として非常に恵まれているのだなと感心しました。

著者自身が大学で生物学を学んでいたこともあってか生物技術についてや環境技術についての記述は多かったです。
特に生物技術は現在ニュースに取りざたされることは少ないものの非常に注目されており、例えばチョコが常温で解けないようにするために無害な生物が作り出すロウでコーティングしているという話は非常に驚きました。
独特なお酒を造ったり、伝統工芸品である絹を作り出すのも生物です。
もちろん植物も生物技術として扱われています。

なお中央教育審議会が発表した中学校技術科の指導要領の試案では
【エネルギー変換・生物育成の技術】
【技術と社会・環境】
を学ぶことになっています。

とくに【技術と社会・環境】では

・ 省資源・省エネルギーや品種改良等,社会からの要求で発達した技術について知ること。

となっており、技術を教えるのであれば読んでおいて損はない一冊です。