超ひも理論はミュンハウゼン伯爵の話ではないらしいです。

物理の教科書や資料集の行間を読める本と言ったらいいでしょうか。

またまた詩的な科学の本認定です。


404 Blog Not Found『書評 - サイエンス夜話』より
本書「サイエンス夜話」は、サイエンスライターとして今や日本一有名な感もある竹内薫と、文系の叔父である原田章夫が横浜の居酒屋で科学談義しているのを、ソフトバンク・クリエイティブの益田氏が横で聞き耳をたてている(eavesdrop)という本。

dankogai氏の紹介の翌日、新書コーナーで出会い衝動買いしてしまった。

本書のオビ曰く
日本でいちばんやさしい科学・物理入門書

これは誇張でも何でもありませんでした。

物理で今わかっている部分を網羅し、物理の考え方について科学哲学や原理を語り、厳密な説明を用いず説明しています。

目次は以下
第一夜 酒の肴にカガク!? ナイト・サイエンスの世界にようこそ
第二夜 今日の肴は相対性理論! 迷路のような物理の世界をひも解く
第三夜 世の中は基本的にシンプル! 本質探しの夜
第四夜 ガリレオの実験から宇宙の進化論、エネルギーまで疑問はまだ尽きぬ!
第五夜 語り明かして五夜! そしてナイト・サイエンスの夜は明ける


本書の内容にふれておくと、第一印象は最悪!!

特にこの聞き耳を立てている人物の存在がはがゆい!!

第三夜あたりに入るまでが非常に歯がゆい。的外れなツッコミやコメントは思考の加速をとめるのです。

本書通り、本書の肉をなくして骨を考えるのであれば、

叔父は問題提起役、甥はそれに答え、傍聴者はそれに対して思いつく具体例や一般人の視点を付記してくれればよかったのに、

やれ「どういう字を書くんだよ」だの「ただの天文オタクじゃないのか?」だの、読者は答えを知っているのにたいしたことのない最後のオチのために延々くだを巻く。

しかし、それが実はゆっくり考える時間を確保してくれていたのではないか、と読み終わるころには気づきます。

そして言わずもがな、二人の話の内容自体はわかりやすくとてもためになるのです。

若いうちに物理の教科書よりこちらを読めればどれだけ良かったかと、悔やんでしまいます。。

いや、今この本に合えたことにむしろ喜ぶべきかもしれません。


学校で授業を受けるとき、

知識を得るべき領域の全体像を把握できていれば、理解は早いのですが、

教師はすぐ知識を体系立てて与えようとするため、手探りで新しい情報を位置づける処理をしなければなりません。

目的地は一緒にしてもまず地図や俯瞰図を与えるのが先だろうと思うのです。

そして本書が物理で僕が始めて出会ったそれです。


BUILDING AND DEBUG ERROR『書評-我らクレイジー☆エンジニア主義-』より
発明クラブの指導員をした時も思いましたが、発明が好きな子供というのはたいてい発明した偉い人たちのことを詳しく知っている。

彼らには創造行為に対しての好意と、先駆者に対しての憧憬がありました。


その好意と憧憬について、科学技術への哲学と科学者自身の哲学が核になると思います。

そしてそれらは教科書や資料集に簡単に読み取れるようには書いてなかった。

本書にはそれが網羅してあります。

紹介していただいたdanさん、ありがとうございます。是非皆さんもご一読を。