yahooカテゴリ教育社会学教育問題を眺めているとなるほどと思うと共に、だんだん違和感を感じてきたので書き留めておく。いろいろ勉強できるいい機会となった。


「コピーライターとしての資質を一瞬で見抜く」ための、たった一つの質問
この話、逆に言えば、「クリエイターになりたい人」は、聞かれたときにすぐに「自分の好きな○○」を10個くらいは挙げられるように、しかも、その10個が「自分のベストチョイス」になるように、日頃からトレーニングしておかなくてはダメだ、ってことなのですよね。


と言うのが話題になっているので別にクリエイターでもないけど、しかも好きなことでなく問題点についてだけど、せっかくなのでトレーニングがてら乗っかって教育問題10個を目安に答えられるようにしておきたい。
と言うわけで以下をあげてみた。

1.学力問題
2.道徳問題
3.過労問題
4.教員志願者減
5.保護者問題
6.カリキュラム問題
7.歴史問題
8.予算不足
9.無意味なシステム
10.戦争国家化する懸念


記事を書くためにひたすらググった。リンクが多い事については勘弁して欲しい。また統計は専門外なので細かい部分の数値の妥当性が低いかもしれない事についてはご了承・ご指摘願いたい。
1.学力問題
学力低下が叫ばれる昨今であるが、実は学力自体は落ちているとは断言できない。
学習到達度調査:日本人の学力さらに低下? 教育テスト研究センター理事に聞く
「学力」という言葉は欧米にはありません。日本で一般的に言われる「学力」は「知識理解力」です。一方、OECDが重要だとしているのは(1)知識を使いこなす能力(2)対人関係能力(3)自主的、自立的な行動力??です。子供たちが社会に出た時に必要な力は何かという議論が、日本ではまだ足りないように思います。

PISA調査によると日本の問題解決能力は世界4位である。知識偏重教育で応用力がないと言われてきた日本にとって、これはもっと注目された方がいい事実である。
知識力を増やしたところで意味がない、知識的な教育と人格的な教育のバランスを取ることが一番重要な課題であるのに、ゆとりであるとか円周率が3であるとかまったくどうでもいいところで議論して時間を無駄にしていること自体が問題である。

2.道徳問題
 道徳力低下もよく言われるが、実際はまったく落ちていない。いじめ薬物使用も犯罪も自殺件数も減っている。増えていると言えば登校拒否件数(pdf)だが、これもいじめ等の環境や適応力の問題だけでなく、教育不信からなど原因が多様化している事が考えられる。いじめについては最近になって定義が変わったため件数が6倍になったと言う記事もあるが、もう少し長期的な視野で見る必要がある。もちろんいじめを放置と言うことではない。現状の対応を維持しながらと言う意味だ。
 また言葉遣いの乱れや生活態度の乱れも捉えられがちであるが、減少する犯罪率に対しての「少年犯罪報道」の増加による関心度の増加もあるだろうし、言葉にしてもマナーにしても変わりゆくものであり、あらたな価値観に対応できない大人の道徳観の方が問題であると考える。

3.過労問題
 教育問題に隠れて報道されているのを見かけないのは個人的にタイミングが合わないからだけだろうか。教員の労働条件はいつ過労死してもおかしくない基準であると指摘される(pdf)。教員の死亡率があがっていたとしてもおかしくはないし、児童の自殺防止ばかりが取り上げられ教員の自殺防止などの措置については誰も何も言わない。検索すれば教員の自殺などいくらでも出てくる。過酷な現状の中教育に命をかけて臨む人たちもいると言うことを多くの人たちにもっと知って欲しい。

4.教員志願者減
 データからみる日本の教育によるとがっつり教育学部生の割合は落ちているが、志願者もやはり減少しているようだ採用されたとしても早期退職も年々増加、免許更新制など規制を強化することでの職業としての魅力減が大きい。わざわざ大学が集まって教職志願を促進するサイトを開設する事例も。余談だが天下りで叩かれてる官僚(国家公務員)も同じ傾向だという。自己実現だけを動機として職を続けるのは難しい。それ相応のインセンティブはやはり整備すべき。


5.保護者問題
 モンスターペアレントヘリコプターペアレンツなどが話題になり、今でも一部で取りざたされているし、教員にとってやっかいな存在であるというのはもっともだが、実際親が我が子の教育に対して文句を言うのは当たり前だとおもうのだ。問題は協力する姿勢や体制が整備されていないこと。先日のネガコメ問題もそうだが、お互いに不満を言い合うだけでは建設的な議論が成立しない。「子どもをよりよい方向に育てたい」という共通の目的があるからこそ意見を言い合うことが許される。その前提を整備すればあとはうまくいく気がするし、それが難しいのだと思う。

6.カリキュラム問題
 何度も言うが、文部科学省の政策指針である理数教育の充実は無意味。理数教育を充実しても飛躍的に人格が発達するとはとても思えないし、技術教育を増やすべきというのはさんざん訴えてきた。また個人的には、いじめも不登校も言葉の乱れも道徳力不足も子どもたちの表現力不足が原因だと思うのだ。善意があっても上手に「ありがとう」といえない子どもが増えているのではいかと思っている。もっと「表現」を重視する必要があると言う点で、美術や体育や音楽、技術、受験に出ない教科こそ充実すべきだ。

7.歴史問題
 教科書において中国で虐殺があったとかなかったとか、正直どーでもいい。歴史家の視点からすれば大問題なのだろうが、それを教科書に載せて伝えたい事は何なのだろうか?戦争の悲惨さ?であれば原爆の記事だけでいいではないか。功罪をいちいち追求しすぎるから「やったらやり返される」なんて思想が生まれる。争いを産む事実(少なくとも論争を巻き起こすような事実)であれば、掲載しなければいい。教育は事実を伝えることが重要ではない、一番重要なのはそれを伝えることでどう発達するか(してほしいか)だ。学者は教育を巻き込まずに事実を追求して欲しい。
(こう書くと似非科学に対して肯定的かと思われるかもしれないが、エビデンスから正確である確率が高いものを語る姿勢が重要というのが前提にある。)

8.予算不足
 教員数、学級数、学校の設備や敷地面積、教育予算ともに適切ではないことは多くの専門家が指摘する。組織論で考えれば30人学級ですらも多すぎで適切ではないのだ。1クラス18人くらいが適切らしい。現在の新指導要領案は教育予算の増加を想定して作られているが、これも増加が十分でなければかなりの教員負担増である。
 例えば今フィンランドに学ぼうとしているが、フィンランドも先程行ったように1クラスの人数は18人程度教育予算の割合は日本の2倍。単純に考えても4倍は違う。またフィンランドの教育にも限界はある事を知らねばならない。税金だってバカ高い。いいとこ取りは日本のお家芸だ。他に学ぶ姿勢自体は悪くないが、日本のいいところを壊してはもったいない。

9.無意味なシステム
 yahooカテゴリを調べて出てきた「教育再生・地方議員百人と市民の会」「CEBc」など、教員を目の敵にしたような表記が目立つ。大事なのは印象でなく数値統計から語ること。そういう態度を取れない人ほどバウチャーのようなよくわからない格差ばかりを目立たせるシステムを主張しがちだ。システムの大幅な改革よりも微小な修正と理解と協力こそが重要なのではないかと考えるのだが。

10.戦争国家化する懸念
 アメリカでは教育格差から軍事へ流れる仕組みができあがりつつある

ホープレスなアメリカ:堤未果著「ルポ貧困大国アメリカ」を読んだ!
 教育に関しては非常に印象的だったのは、ブッシュ政権が2001年から実施してきた「No child Left behind(落ちこぼれゼロ政策)」の裏の意味について。

「No child left behind」は、一般に

1.全国一斉学力テストの義務化
2.学力テストの結果によって、よい成績をだした学校には助成金を支給。悪い成績をだした学校には、ペナルティを課す。
3.再三にわたって改善が見られない場合には、教師の異動、降格、学校は廃校などを検討する

 といったような政策として理解されているけれども、実はそこには「裏の意味」があるのだという。

「落ちこぼれゼロ法は、表向きは教育改革ですが、内容を読むとさりげなく、こんな一項があるんです。全米のすべての高校は生徒の個人情報を軍のリクルーターに提出すること、もし拒否したら助成金をカットする」
(同書より引用)

 もちろん裕福な学校はリストなど出さない。貧困地域の学校は、助成金ほしさに個人情報を軍に提供せざるを得ない。かくして、貧しい子どもたちが、リクルータのあの手この手の勧誘によって、軍に「自ら望んで」行くのだという。
 軍がつくったシリアスゲーム「アメリカズ・アーミー」で遊んでいるうちに、軍に親近感を覚えた子どもたちが。

 本書p177の言葉が印象的だった。

「もはや徴兵制度は必要ないのです。政府は格差を拡大する政策を次々に打ち出すだけでいいのです。経済的に追い詰められた国民は、黙っていてもイデオロギーのためではなく、生活苦から戦争に行ってくれますから。ある者は兵士として、またある者は戦争請負会社の派遣社員として、巨大な利益を生み出す戦争ビジネスを支えてくれるのです。大企業は潤い、政府の中枢にいる人間たちをその資金力でバックアップする」


このままアメリカ化していけば軍事大国日本とまでは行かないにせよ、平和な日本は失われる可能性があり、これはなんとしても阻止したい。もしかしたら知らないだけでもっとひどい仕組みがあるのかもしれない。構造全体を把握するのはかなり難しいが、微力ながらに自分ができること、教育をよくする方法を考えることができたらと思う。