挑発的なタイトルで申し訳ない。

人間は自分の発言や理由付けによってそこにある事象を解釈するだけでなく、その発言や理由付けにより自分の人格や性格まで決定してしまう。

「思ったから発言するのではなく、発言してからそう思う」ようになるのである。だとしたら言ったもんがち、かと言うとそうでもない。

そんな話を以前から考えていた。
人間の本質は学習することだと言う人がいたが、それは違う。心理学の世界では学習だけなら動物だってできるのだ。学習とは、”刺激を与えることで行動が変化すること”である。刺激は文字、映像、音、痛みなどなんでもよい。知識をインプット&ストックすることではないし、ほかの動物がそれをできることもできないことも証明できない。(たぶん)

同時に学習は動物に(少なくとも人間に)備わった基本的な機能だ。刺激さえあれば影響されないことなんてない。ささいな物音一つ、漫画の記号一つですら影響力は持つものだ。

1.「発言した後に理由を探す」
これは私が自己啓発の一番最初に読んだ言葉である。
「頼み事をされたとき、ノーと言えば無意識に無理な理由を探すし、イエスと言えばできる理由や方法を探す。」というものだ。身に覚えはないだろうか。その本にはこの後、「だから無理と言わずイエスと言った方が喜ばれる」と続く。よくよく考えればこれはおかしな話で、それなりのノウハウと論拠、そして相手との信頼関係を持って答えを出さなければ、計画性のなさや責任感のなさが浮き彫りになるだけだ。これは強者の理論。
同時に、問題は自分の行動でなく相手との関係性を考えなければいけない。一方的に頼まれたことを無理か可能か判断をするのではない、不可能を話し合って可能にしていかねばだろう。少なくとも理想としては。

2.「理由が自分の意識に与える影響」
話はそれたが、一つ目の問題は、頼み事をされたとき「無理」と言った理由が正しいかである。

「無理、めんどい!」

と言う言葉をよく聞く。「めんどい」と言う言葉を発することで、頼み事に対して評価を下すと同時に、「自分はその仕事をしないめんどくさがりである」と、相対的に自分を評価することになる。

言い聞かせや暗示と呼ばれるものがそこに存在するのだ。

「難しい」であれば、裏返せば自分にその能力や環境がないと自分を評価するわけだし、「自分でなくてもできる仕事だ」と言えば一概には言えないが、自分のプライドの高さを相手だけでなく自分にも示すことになる。


3.理由を一つに求めることがまず危険である。

あくまで仮説の上で話を進めていることをご了承いただきたい。自分の発言が刺激となり自分の性格が決まっていく。とすると、理由が二つも三つもあれば、その影響も分散されるのではなかろうか。
「自分でなくてもできるし、ほかに自分がもっと貢献できる仕事をしたい」と言えば、プライドだけでなく、自分の立場や奉仕性なども示せる。理由に主観性と客観性のバランスがとれるのだ。

4.いやいや待てよ、そんな簡単に性格が決まるかよ
確かにそうだ。一回頼み事を断っただけで自分の性格が決まってたまるか。
だが、あなたはたった一度しか頼み事をされたことがないのだろうか。

人に頼むことも頼まれることも多々あったはずだ。そう、人とコミュニケーションがとれる環境で生きている限り、イエスノーの判断を何度も繰り返すことになる。そこで10回中8回「めんどくさい」と言えば自己暗示を強化することになる。学習は訓練によって会得するものである。

5.失敗しても同じ
失敗したとき、反省しない人間は少ない。
いたとしたら、それは「反省は無駄だ」という学習の結果だ。同時に「自分は反省をしても活かせない」と評価をすることになる。それを学習した結果が反省をしないという行動に現れるのだ。

失敗したとき、俗に言う負け惜しみをつぶやく。「縁がなかったんだ。」「運が悪かったんだ」「仕事のパートナーとの相性が悪かった」「精神力が足りなかった」「別に報酬なんていらない」。そうして自分の一面をどんどん決めていく。人脈力の弱い人、運のない人、コミュニケーションが下手な人、精神力(これもナンセンス)が足りない人、欲のない人。

一度決めると無意識に筋を通して「ほらやっぱり」って言いたくなるのが人の性。無意識に性格づけた自分を証明しようと行動してしまう。

つぶやく人がマジョリティとは限らないしむしろ限りなくマイノリティだと思う。なのでこの記事は仮定に仮定を重ねにマイノリティを語るという信頼性の薄い思考実験である。

6.そんなの性格によるでしょ
確かにそう。でも、性格が先か、発言が先かと言う議論は卵と鶏どちらが先かを考えるのと一緒なので、もっとちゃんとした哲学の専門家と話してほしい。

理由を一つだけつけて、それを繰り返すことで、偏った性格付けが行われ、その結果が人格にまで影響することがある。

7.逆に言えば性格はコントロールできる
月並みな自己啓発みたいになってきた。
ちなみに自分の場合は失敗したとき、ちゃんと分析して客観的な理由をつける
よう意識するようになったことで、性格がえらく丸くなったらしい。

「理知的な態度を」意識し訓練することで「理知的な自分」を性格づけてきた。ポジティブな意識付けはポジティブな強化学習となる。

同時に気づく、性格が曲がらないためには失敗したときのフォローが非常に重要なのだ。子供は怒られたとき素直に反省しない。どんな場合に何が悪くてどう行動すべきだったのかを示しながら怒る。これが意外と難しい。

8.疲れたときも同じ
たとえば仕事で成功するためには結構な仕事量が伴う。
仕事に疲れたり飽きたりしたときも、同様に理由を求める。
「何でこんな仕事してるんだろ」「何で苦労してこんな勉強してるんだろう」
「金がいいから」「自分は仕事が好きだから」「自分の将来のため」
自分に向いた理由付けを繰り返すと、自分中心、自分のためにばかり働く人になる。
自分が苦労してまで働くに値するだけお金が好きであったり、仕事が好きであったり、野心的でなければ納得できない。なので納得できるよう仕事でなく自分が変わろうとする。無意識に。特に「割り切ってる」と言う人ほどこの傾向が強い気がする。

成功した人たちは皆性格が違うが、自分の欲求に素直な人は、きっと仕事で躓いたり苦労した際にこうした強化学習を繰り返してきたのではないかと思うのだ。

9.人のために働け
利己的な上司はあまり好まれない。ワンマン社長の会社は運がないと続かない。いろんな力がシステマティックにループを繰り返し偏った循環を生む。

対処法はどうだろう。まず人のために働くことだ。
同じ報酬を得るとしても、自分のために働いていたら自分はその苦労に見合うだけの利己的な自分にならなければならない。
人のために働いている限り、貢献的で利他的な自分になっていく。同じ報酬を得るなら、多くの人とwin-winの関係を築いた方がみんな幸せになる。
動機は他人に求める。
自己満足は対象が一人だが、人は世界には60億人いるわけだ、全員を満足させるまで、モチベーションは持続するはずだ。