一つ前に「子供を動かす法則」のエントリーをおこしたのも本書を紹介するため。

本書はビジネスマンは読む必要はない。その代わり子育てをするであろう父母すべてに送りたいやさしく知的な一冊。

早速本書の冒頭に登場する指示を試してみた。

「はい、へそこっち向けて」

…これはすごい、こうかはばつぐんだ。

教育者界隈の知り合いに聞けば、紹介せずとも言わずとしれた名著らしい。

1989年著、平成元年、今からおよそ20年前の名著は、今でも十分に通用する。多くの先生が身をもって実証済みである。

教育法則化は賛否あろうともこの教育技術は否定しようがない。

一部の教育思想をのぞいては。

と言うのも本書を読んだ時にBLOG界隈の話題とあわせて考えたのが、教育思想の歴史的な立場を知らない人が多すぎると言うこと。

一言で言うと教育=管理/コントロールと考えている人が多すぎるのだ。

管理教育とは被教育者みんなが均一の質を保つこと、そして忠実に言われた仕事をこなすことを良しとする文化である。手法としては、ルールに対して厳格に、逐一やるべきことを指示し、悪いことをしたら怒り、できなければ精神論を用いて叱る。教師にとって前時代的な感覚のそれも、世の中にはまだ多様に存在するらしい。

それはいわゆる躾と呼ばれる行為であって、学校で求める学習ではない。どちらかというと学校以前の学習であり、絶滅させるべきとまでは言うつもりはない。

現代の教育思想は経営:マネジメントに基づいたものである。

教師は経営者となり、指針を示し、致命的な失敗をさせないようにしながら、様々な気づきを促す。社会を長期的に走り続けるための助走期間なのである。

指示という行為一つとっても、すべてを指示するのではない、考えるべきポイントやインストラクション(思考の罠のようなもの)を数カ所用意しておくことが重要なのである。

正しいことは時代によって変わる。言われたことを処理するだけでは全体としての発展は見込めないし、何より作業の多くがコンピュータの仕事になりつつある。知的に動くことが過去以上に求められる。

コンピュータでなく人間にできることは、自分で考え動くこと。


NHKの番組「プロフェッショナル」で盲導犬訓練士の話を見た。

訓練士の方は、最初、犬が仕事をするように最初厳しくしつけていたと言う。言葉は厳しく、していけないことはするな、仕事ができなければ叱る。

そうして育った犬を渡した家族から、ある電話がかかってきたという。

「あなたの犬は使えない。あなたのいないところでは仕事をしない。」

厳しくしすぎたせいで、犬は訓練士の見ていないところで仕事をしないようになっていた。犬にとって仕事が、楽しくないものとなっていたという。

犬ですらそうなのだ、まして人間であればどうだろうか。



子供たちが知的に、自分から判断し、動くこと。それは当面の目標であり、理想の姿である。

本書に示された、93の事例とその要点。概念化するには十分な内容である。

これからいくつかオリジナルのBを作っていくこと。経験を積んでいくこと。

単なるガイドラインでなく、気づきと始まりの一冊であった。