恩師が大学でゼミで使っているというので注文して購入。

先輩後輩も先に読み終わったようだ。

行動分析学。教育学、心理学など、教育の基礎として久々に忘れかけていたことを再確認させてくれた。この頭への刺激は心地よい。この手の本は定期的に読まねば。内容も簡単で面白く新書感覚で読める。

インストラクショナルデザインはIDとも呼ばれる。呼び名の通り、ある意味新たな創造論かもしれない。

インストラクショナルデザイン-Okumura's Blog-
インストラクショナルデザイン—教師のためのルールブック(島宗 理)という本がとても平易でおもしろい。

著者の行動分析学で問題解決サイト,Moodleもあるぞ!


と言うわけで奥村先生も絶賛の一冊。

著者は教育工学界の重鎮島宗理氏。

教育問題から専門技術、なんとライフハックまで、教師だけでなく人材育成から子育てまで読んで損はしない内容となっている。しかも内容は本書のインストラクションの基礎に沿ってできているため非常にわかりやすい一冊。入門書に最適だ。
1.インストラクションとは
まずは本書のタイトルにもあるイントラクションとは何か。

行動が変わるような仕掛けである。

たとえば道路標識。
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道にこの先急カーブと書かれていればスピードを落とすだろうし、逆にスピードを出す人もいるかもしれない。どちらにせよ、情報を得ることで行動が変わったのだ。

これを制御しよう設計する行為がインストラクショナルデザインである。

2.教育をインストラクションとして見直す
そもそも教育と呼ばれる活動は、たとえば授業や講義、たとえば学校行事など、それらを通して行動が変わるよう仕掛けられたものを言う。ただ知識を得るだけが教育の役目ではない。
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たとえるならトンネルだ。ガリバートンネルのように、小さい体が使用後は大きくなる。

一番有名なのは向山式跳び箱指導法だろうか。必要な技能を詳細に分析し、一つづつ訓練・学習・クリアさせることで全員が到達する。

3.インストラクショナルデザインの評価
この事後の姿を得るためのスモールステップ、事前評価、事後評価など、点数だけでは測り得ない部分が多く、そのノウハウは現代になってようやく蓄積しつつある。

なぜか。

本書の中で島宗氏はこう指摘する。

しっかりした評価システムがなければ、インストラクションは改善できない。生物学や化学、医学や工学のように、客観的な評価システムが確立している分野では、10年どころか数年単位で技術革新が進んでいくことが珍しくないのに、こと教育に関しては、10年どころか、100年前と比べてもそれほど技術革新が進んではいない。たとえば、小学校の授業授業風景を比べてみれば明らかなように。


非常に耳が痛い。ゆとり教育が本当に悪かったのか、納得できる評価は示されていない。

4.改善のために何を見るか
面白かったので一部だけ紹介したい、しない・できない原因チェック。

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簡易化したものがこちら。
今までしなかったことを言われてできるのなら知識が無かった、それでもやらないのであれば技術がないかやる気がないというもの。

言われてみればなるほどなのだが、なにかしら努力が足りないとか思いやりや意識が足りないなど、精神論に走りがちなのが世の常だ。

きちんとデザインもせず評価も曖昧。これについて島宗氏は最後にこう指摘した。P156より
私は現在の日本の≪教育≫界のもっとも弱いところは、教え手の多くが≪教条主義≫に基づいて仕事をしていることだと思う。教条主義の元々の定義は「状況や現実を無視して、ある特定の原理・原則に固執する応用のきかない考え方や態度。特にマルクス主義において、歴史的情勢を無視して、原則論を機械的に適用しようとする公式主義を言う。ドグマチズム」(大辞泉)とあり、政治的な意味合いが強い。ここでは政治的な意味ではなく、学び手の学習状況を無視して、これまで通りに教えたり、教科書や指導要領がそうなっているからと言う理由だけでその通りに教えたり、○○先生がこういっていたからと言うだけで指導方法を変えたりすることを指す。≪権威主義≫とか≪保守的≫とくくってもいいのかもしれない。いずれにしても肝心要は「学び手の学習状況を無視して」というところである。


本書を読むに当たって、これ以上の鋭いまとめの言葉が見つからない。共感できるという意味で、本書のインストラクショナルデザインは私にとって効果があった。