12歳からのインターネットと一緒に参考にした書籍。

改めて読み直してみたが、心理学や教育学だけでなく、データや現状、参考文献や資料など、押さえるところを押さえているうえ、世論的な「暴力表現は悪い」「性表現は有害だ」といった親父的小言までを見事に網羅して、バランスがとれている一冊。

併せて今の中学生たちがどのようなサイトを使っているか、調べた範囲で紹介したい。

本書について
本書は千葉大学教育学部准教授の藤川先生によるもの。

目次は以下
第1章 子どもはケータイを何に使っているか
 ●子ども向けケータイは安心か
 ●「出会い系」も「非出会い系」も児童売春の場
 ●度を越えた残虐映像やわいせつ映像
 ●「無料」に子どもは弱い etc.
第2章 ネットいじめの実態
 ●報告された4883件のネットいじめ
 ●個人情報を公開する手口
 ●実態の見えにくい「学校裏サイト」
 ●生徒指導担当教師の悩み etc.
第3章 子どもの生活を支配するもの
 ●1分以内に返事がなければ無視したことに
 ●メール依存症
 ●中学生に多い抑うつ傾向
 ●「やりたいことがわからない」若者たち etc.
第4章 有害情報をどう規制するか
 ●優良サイトまで排除
 ●ドコモ、auの行き過ぎた囲い込み
 ●居場所を失う子どもたち
 ●フィルタリング解除をめぐる親子の攻防 etc.
第5章 子どもの健全育成に何が必要か
 ●生活習慣の乱れとメディア
 ●メディア漬けを助長する子ども部屋
 ●暴力表現や性表現の何が危険か
 ●子育てに必要なバランス感覚 etc.
第6章 親、教師、社会ができること
 ●「ケータイがほしい」と子どもに言われたら
 ●子どもに必要な第3の居場所
 ●学校のケータイ・ポリシー
 ●地域で進む多様な取り組み etc.


非常に本質を突いていると思わせてくれたのが次の二つの発言。

P184より
ケータイを持つか持たないかより、親子の関係をどうするかの方が大切です。まずは、ケータイの話を契機に、親子のコミュニケーションをとることです。


確かに、ケータイがあろうとなかろうと、子どもがトラブルの中に身を置こうとするのは親子の関係性によるものが大きい。失敗をしないことより、失敗の危険性を最小限にして、フォローできるようにすることで、失敗してもいい関係、環境を創ることの方が重要である。

二つ目はP141より
フィルタリングという技術で解決できることは大きいのですが、限界はありますし、新しい問題との追いかけっこになる可能性もあります。フィルタリングの普及という方向性が出てきたところで思考停止することなく、子どもたちのために何が必要かを考え続けることが必要です。


とちゃんと技術の限界を示しているところ。フィルタリングによる官制不況、子どもの居場所問題、表現の自由の侵害問題などにもきちんと言及している。

今のところはフィルタリングの方向で妥当だが、その後のケアこそ大事であるという政治的判断は正しいと思う。


性表現や暴力表現についても「大きな衝撃を受ける」という表記にとどめており、影響があるとか人間性を破壊するといった表現はない。ただし、売春などについてはきっちり言及している。

残念なことに、メディアリテラシー教育について言及する部分で、国語や社会科、総合的な学習の時間、情報科しか取り上げられておらず、中学校段階の情報教育で一番中心的役割を果たす技術・家庭科に触れていない。

技術教育はここまで認識されていないのかと少し悲しくなった。

子どもたちの利用するケータイサイトについて
 プロフサイトからリンクをたどりわかる範囲で中学生の利用するサイトについて調べてみたが、おもしろい傾向を発見した。
 若い子たちも従来通りケータイ用のサービスを使ってウェブページを作成するのだが、それぞれのサービスごとに使う会社を変えている。日記は日記、リンクはリンクといった具合にである。あくまで、散見したうちの一つの傾向なので、みんながみんなそうではない。

ポータル
まずは様々なサービスをリンクするポータルサイトから。
魔法のiらんど
モバイルスペース
chip!!
@peps


日記系
ブログ系を使っている若い人も多いのだがここではケータイ限定の日記を紹介。若い人の中には「人に見られたくない」と「人に理解してほしい」という不思議なジレンマが存在するらしく、その妥協点として必要性もないのに「携帯からしか見ることのできない」「日記」を好むと考えられる

モバゲー
アメーバモバイル
DECOLOG
 
リアル/リアタイ
若い人たちの間で流行っている一言日記、一言ブログである。
主に出来事かそのときの気分を愚痴っているだけ。twitterに近いのだが友達を登録したりはしないらしい。若いうちは交友関係にも流動性があるためこちらのサービスを選ぶ方が無難なのかもしれない。
alfoo
DECOO
takumi

参考:前略プロフィール
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