2009年01月

蔭山英夫の言葉 その1

先日の記事を書いてから、「実際のとこどうなんだろう?」と思い以前買って読まずにいた蔭山先生の本を読んでいる。

学力の新しいルール」という3年以上前の本なのだがこれがまた面白い。
事例ではなくデータを用いて例えば生活習慣や政策などのあらゆる要素と学力との相関を示している。

いまだに「個性」とか「楽しい授業」とか大声で言ってる人たちはぜひ読むべきだ。

その中でいくつか印象的だった言葉を紹介する。

P.66「個性は苦しい努力の向こう側にしかない」より
 最も問題だったのは、個性尊重という概念の解釈と運用です。
もちろん個性を尊重するということは当然のことです。何も悪くはありません。しかし、能力の低さも個性のうちと理解されたことで、指導が迷走をはじめたのです。

(中略)

 この個性尊重の考えは、危険な考えに思えました。それで、よくこんなことを子供たちに言いました。
「笑いながらでもできるものは誰でもできるものだ。それを個性とは言わない。人がそう簡単にできないことができるから個性なのだ。つまり、個性は、苦しい努力の向こう側にしかない。だから苦しめ」



P.70「楽しいだけでは問題は解けない」より
 次に問題だったのは意欲と学力の相関関係です。
 これからの時代は、知識がの量は問題ではなく、意欲が問題だと言われました。私から言わせれば、これも現状分析がない典型的な対処療法でした。意欲がないのは、子供たちの生活習慣の崩れから来るものです。ですから、意欲を持たせるためには元気にしてやらなければなりません。また、意欲を持たせる学習指導上の工夫は、いろいろありますが、それを支えるのは基礎的な力です。ここがなけれが最初は良くてもやがて行き詰まります。

(中略)

 当たり前のことですが、意欲だ、知識の量だと抽象的な言葉で議論していると、とんでもないところへ結論が行ってしまうのです。
 詰め込みと言われようが、受験学力と言われようが、九九は覚えさせなければいけませんし、漢字はきちんと読み書きできるようにさせなければいけません。指導の仕方の上手下手以前に、まずきちんと指導しきらなければなりません。


数年前にこれほどわかりやすいデータと意見が述べられているのに今更大阪などの政策に反映されて、その表面だけみてワーワーわめいている僕ら一般人はまるでピエロだ。

よい講義ができてもよい教育ができたとは限らない

本日は自戒を込めて。

授業というのはいくつかの要素、もしくはフェーズからなる
教師の目線に立つならば
1.導入…本時の説明、目標の提示、動機付け(ARCSモデル)など
2.講義…基礎知識の提示・伝達、応答、確認など
3.指示…書き取り、読み取り、実験、生産的活動などをさせる
4.まとめ…要点の振り返り、評価(する/させる)
と言うのが一般的。

2と3は繰り返すことも多く、数学であれば知識を伝達して3.解いてみよう→2.解説→3.解いてみようという授業がベースではなかったか。


 授業中によい講義ができたと感じることがあるかもしれない。
 たとえば、自分の態度を見直すよう説教をしたり、コミュニケーションについて説いたり、勉強法を教えたり、教科を通じて道徳的な教訓を伝えたり、さまざまな講義を行ってきた。しかし、その場で学び手が良い反応を示したり、感銘を受けても、それが知識もしくは概念として定着→行動に反映されなければ意味がない。

 教科を好きになってほしいと満足度の高い授業を行う教師も最近は増えてきた。講義の質は研究の蓄積により確実に上がっている。一方で大事なのはその授業後のフォローではないか。
 好きになる→自分で繰り返す→定着→理解深化やあらたなモチベーションというループが回るからこそその授業を行う意味があって、楽しかったね、で終わり好きになる→知識の定着までのフェーズが進んでいるかを考えなければならない。

恩師から、詰め込み式教育の最大の問題は詰め込めていないことだったという指摘を聞いた。量から質へ、知識から活用へ、将来的にでもよい、これらが両輪として作用するよう教員は配慮をしなければならない。それができないのではその講義は学者のエゴだ。ゆとりから詰め込みに表面上変わったところでなにも解決せずまた無駄な20年(学習指導要領の改変)を繰り返し続けるだけだろう。

WINDOWS VISTAの裏技をいくつか紹介するよ-書評-ストレス・ゼロの快速パソコン術

書店で手にとって購入。既出のものもあるので取捨選択して試しながらやってみたが1時間程度で実践までできた。

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ハック本はWEBで散見するよりこのようにまとまったモノを一冊手元に置いておく方が便利だ。

中身をいくつかピックアップして紹介する。

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蔭山流が悪くない理由の補足

文字数が多かったため記事にあげます

>fly-higher さん
コメントありがとうございます。
確かに現場はアナログな人間は多いという現状はあるでしょう。方法論や技術継承の問題はありますが、教師・教職に自分たちを省みろと言っても聞かない現状が多々あります。また一般企業にも効率の悪い人間はいるでしょう。統計的に示されていない以上事例を挙げて全体を語るのは危険です。

1,競争原理が働かないこと(とくに公立校)
→学校は教師の王国です。学級王国と呼ばれるピラミッドの情報伝達が普通でした。「日本人のしつけは?」で紹介しましたが、問題は教員を責める人間が増えていること。
 国で考えればわかると思いますが、王様の権威がなくなれば治安が悪くなるし情報伝達も効率が悪くなり、学習効率が低下する。解決策として力で押さえつけようとするならば体罰禁止の風潮や子どもの管理・監視など、従来以上に労力がかかります。
 記事本文にも書いたとおり代替手段も見つからないし合ったとしても法律的にどうか、それを実現するためのモチベーションやインセンティブはどこから生まれるシステムになっているのか。

2,教員の(多忙かどうかではなく)多忙感
このデータに示されていますが、教員は多忙かどうかでなく、"多忙と感じている"事が重要です。例えば土日の部活は一日面倒を見て数百円の手当しか出ない現状。遠征でもしようものなら自腹です。会社であれば休日出勤にもそれなりの手当が出ます。家族に非難されようとも金と仕事の継続のためならやむを得ないでしょう。
 しかし、休日出勤や残業がマイナスである以上、使命感のある教員以外は、あいた時間があれば自己啓発より自分の時間、家族の時間を取る人の方が多いでしょう。
 日本の教育システムは使命感に支えられていると言っても過言ではありません。

3,成果とはなにか
→教育は産業ではありません。義務教育として人格の完成を促しなさい、知識としてはこれくらいわかるようにしておきなさいと示されているだけです。どこにも高校に進学させよ、偏差値を上げよという事は書いてません。
 その一方で知識面での成果を出せ出せと周りが攻めても教員も児童生徒も息切れするだけです。知識力がほしいなら塾にでも行けばよいのです。
 そういう現状を続ける限り、開き直るか鬱病に陥るか、打開策となる仕組みや技術を持てるのは2割程度だと思ってください。
 教員の鬱率も増えています。疲労感は一般企業の3倍程度だそうです。
http://www.welllink.co.jp/press/files/kyoin_summary_2008-10.pdf
http://jyoushiki.blog43.fc2.com/blog-entry-733.html

4,インセンティブどころか使えるお金も少ない
人数の多い学校や私立でもない限り、教材費・設備費は満足行くものではありません。理科教員などは自腹を切るのも当たり前です。現在教育環境の充実を訴えるべく多くの学者が調査に乗り出しています。データとして示すことができれば何か変わるかもしれないからです。

 教育界がほしがっているのは叱咤激励や競争を煽る言葉ではありません、具体的なサポートとお金です。
研究をされるか、知事になるか、ふるさと納税でもしていただかない限り言葉では教育は悪い方向にしか変わらないシステムであることを理解していただければと思います

蔭山式が悪くない4つの理由-書評-「教えて考えさせる授業」を創る

年始めから少々刺激的な記事が並んでいる
国民が教育を考える年
「漢字は詰め込みが一番」

「理想は、棚上げ、結果を作れ」、

「目的のために手段を選ぶな」

などの話を、教育委員である蔭山氏がしたとことの報道です。

とあるが実はこれは誰も悪くない。みんながみんな違う方向を向いて叫んでいるだけである。

今回の参考書は以下。

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私立中学はどこへ行くのか-書評-名門中学の作り方

非常にまとまった構成でありながら、私立中学の紹介・分析だけでなく啓発的要素もかいま見える。

本書を読むにあたって、私学人は試されていると思っていい。

教育に対して今のままじゃダメだと思いながら打開策が見つからない人は本書を読むとよい。"教育はこうあるべきだ"の答えがバシッと示してある。しかも答えは一つではない。最適解・ロールモデルの宝庫だ。

日本の教育はまだまだ速度を維持したまま向上し続けることを確信するだろう。


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